冠婚葬祭など幅広い世代の女性が身につける真珠のネックレスやイヤリング。
日本では6月の誕生石としても有名ですよね。
そんな真珠ですが、昔は薬として飲まれていたり、今はパンとして食べられたり(!)、宝石ではなかったり、様々なスポットから見てみたいと思います。
真珠は貝の体内で生成される、生体鉱物(バイオミネラル)と呼ばれています。
母貝(アコヤ貝やシロチョウ貝など)に核を挿入するなどして人の手を加えてつくりだした真珠を養殖真珠といいます。
現在天然真珠と養殖真珠に価値の差はあまりなく、コンクパール(※1)のような一部の真珠を除いては養殖の方が安定した質になるため、市場に出回っている大多数をしめています。
※1コンクパールの養殖技術は近年成功したという報告もありますが、流通に乗るまでには至っていないため、希少な真珠としての取り扱い。
宝石の定義は以下です。
1.外観が美しいこと
2.希少性
3.耐久性すなわち硬度が高いこと
真珠の成分は貝殻と似ており、タンパク質が主な成分です。けっして耐久性は高くありません。
石の硬度を表すモース硬度で7以下は宝石としては扱われず、石英(水晶)の7より高い硬度を必要とされるためです。
しかし例外的に硬度が7以下であってもオパール、真珠、サンゴなどはその美しさと希少性から宝石として扱われるということ。
真珠のモース硬度は4-3とされていますが、指の爪でも傷がつくほどにやわらかいということです。
エメラルドは欠けやすいという認識も強いですが、モース硬度は7.5-8となっています。
兵庫県姫路市に真珠入りのパンを販売しているお店があります。
1本(2斤分)に3gも入っていてお値段もそこそこ、ただ食べて分かるに味ではないということですが(笑)、真珠には上質なアミノ酸であるコンキオリンアミノ酸が含まれており、『保湿』『美白』『アンチエイジング』になどの嬉しい美容効果があるそうですよ!
あのクレオパトラや楊貴妃などの世界屈指の美女たちも、美容のため真珠を飲んでいたと言われています。
そういえば、クレオパトラと真珠にまつわるお話でこんなものがあります。
その当時、ローマの将軍アントニウスがエジプトに遠征に来ていました。
そして毎晩のように豪華な宴を繰り広げていました。
そんな様子を見ていたクレオパトラはこう言います。
「そんなもの本当の贅沢ではない。一夜の食事で1千万セステルティウスを費やしてみせる」と。
アントニウスはそんなことできるわけない、どちらがより贅沢な宴ができるか賭けてもいい、と言いました。
そして行われた宴は双方豪華なものでしたが、1千万セステルティウスはとても費やせません。
負けを認めるよう迫ったアントニウスの前でクレオパトラはその耳に付けていた世界最大とも謳われる大粒の真珠を酢に溶かして飲み干してしまいました。
その財力をアントニウスに見せつけ、見事賭けに勝ったのです。
・・・と、このようにゴージャスな物語がありますが、実際に酢で完全に真珠を溶かすのはきわめて難しいです。
酢もかなり濃いものでなければいけませんし、粒が球のままだとほんの少量しか溶けません。
その場で完全に溶かしてかなり濃い酢を飲み干すには無理があります。
ですので、国をも買える価値のある真珠を平然と飲み干そうとした様をより強調するように後世に語り継がれていったと推測されます。
※粉々に砕けば溶けやすいと言われています。
中国では漢方として飲用されていたというのも、有名な話ですよね。
古くから馴染深い真珠ですが、養殖技術の進歩などにより手に届きやすくなりました。
但し知っておきたいのが、養殖の貝は真珠の核を埋める手術をした後、そのショックで半数は死んでしまうということです。
養殖で身近に安定に供給されるようになったからといっても、貝の苦しみの上で生まれたという儚い美しさを忘れないよう大切にしてほしいと願っています。
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